札樽病院ブログblog

2018.11.27 UP
銭函リハビリテーション学校を開催いたしました!

11月10日(土)、平成30年度、第7回銭函リハビリテーション学校を開催しました。

今回は【高齢者の自動車運転】をテーマに、当院リハビリテーション科の医師であり、神経内科医の安藤医師が講義しました。最近、高齢者の自動車事故についてニュース等で耳にすることが多くなりました。今回のお話では、加齢による脳や身体機能の変化と、運転という課題との関連について少し理解が深まったのではないでしょうか。普段運転されない方も、同乗者または歩行者として注意するなら、交通事故を防ぐことができるかもしれません。また当日もご案内しましたが、ご自身やご家族の運転で気になることがある場合は、安藤医師の外来を受診して頂くことで運転シミュレーターなどを用いた運転評価も行えます。お気軽にご連絡ください。

講義後は、頭を使いながら体を動かす体操【コグニサイズ】を実施しました。継続することで認知機能の活性化に良いとされていますので、ホームエクササイズとしてもぜひ取り入れてみてください!

次回は臨床検査技師が中心となり、簡単な体の検査を実施します。みなさんのご参加をお待ちしています。

 

 

2018.11.07 UP
第6回「脳脊髄液」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

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頭蓋骨の内側に脳がありますが、脳は外側から順に、硬膜くも膜という2層の膜に囲まれています。
更に、脳の表面には軟膜という名の薄い膜が張り付いていますので、脳組織の外側には外側から順に、硬膜くも膜軟膜という3層の膜があることになります。
そして、くも膜と軟膜の間の空間(「くも膜下腔」と呼びます)には液体(「脳脊髄液」、略して「髄液」と呼びます)が存在するため、脳は脳脊髄液のなかに浮いていることになります。
脳の内部には側脳室第3脳室第4脳室と名づけられる脳脊髄液で満たされたスペース(脳室)があり、くも膜下腔につながっています。
一方、脳はそれと同じ成分の組織である脊髄(腰の部分まであります)とつながっていますので、脳と脊髄を一体とする塊は脳脊髄液のなかに浮かんでいることになります。

脳脊髄液は全身で125-150mLほど存在しますが、脳室の中にある脈絡叢という、荒い網目で薄いナイロンたわし状の組織1日450mL産生され、全身の脳・脊髄の周りを回って、頭蓋骨の下のくも膜下腔にあるくも膜顆粒という組織で吸収されます。
脳脊髄液の成分は薄い、蛋白血球を含んでいますが無色透明で、病気になると様々な色を帯びてきます。
脳脊髄液には、通常70-180cm水柱程度の圧がかかっていますが、外傷などでくも膜に傷がつくと脳脊髄液が外部に漏れるため脳脊髄液の圧が下がりめまい立ちくらみその他の不定愁訴の原因となります。
この状態は、近年、「低髄液圧症候群」、「髄液漏出症候群」、「髄液減少症」などの名で呼ばれますが、明らかな外傷歴がなくても起こることがあり診断に注意が必要な疾患として知られています。

次回、第7回は「バビンスキー兆候」です。

2018.10.30 UP
アメリカの学会で発表いたしました!

2018年9月30日~10月3日

    アメリカのテキサス州ダラスで開催されたAmerican Congress of Rehabilitation Medicine 95th Annual Conferenceに当院の理学療法士・井上 孝仁が参加しポスター発表をいたしました。
    テーマ「Effect of cane use on lower limb muscle activity in adults with spastic cerebral palsy」
    「最新技術を用いたリハビリテーション、より効果的な治療・評価法など世界のリハビリテーションにおける考え方について学びました。世界的に最先端のトピックを当院の治療に取り入れていきたいと思います!」

2018.10.16 UP
銭函リハビリテーション学校 開催いたしました!

10月13日(土)、平成30年度、第6回銭函リハビリテーション学校を開催しました。

だんだん寒くなってきましたが、受付では「頑張って歩いてきたよー」と活気ある声が聞かれ、こちらもまた元気をもらいました。

今回のテーマは【栄養】で、当院管理栄養士から、バランスの良い献立のお話や、自分に必要な栄養量はどのくらいかなど、簡単にお話しさせて頂きました。後半は、その栄養を摂取するために必要不可欠となる【嚥下(えんげ)】に関し、当院言語聴覚士より、食べることに関するお話をさせて頂き、簡単な飲み込みテスト体操を実施しました。また、トロミの付いたお茶の試飲や、栄養価の高いゼリーを試食していただき、「意外とおいしいねー」と評判もまずまずでした。

次回は当院神経内科医の安藤医師が、「自動車運転」について、認知症のお話を含めて講義する予定です。ご自身では運転する機会がない方も、ご家族のために、もしくは歩行者の視点で聞いて頂けると良いと思います。たくさんのご参加をお待ちしています。

 

2018.10.10 UP
第5回「中枢神経と末梢神経」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

神経」は大きく、「中枢神経」と「末梢神経」に分かれます。
神経組織は私たちの体、精神をコントロールしますのでコンピューターに例えられますが、「中枢神経」はコンピューター本体、「末梢神経」は情報を伝えるケーブル(コード)に相当します。
中枢神経」は大脳、小脳、脳幹(中脳・橋・延髄)から成り、「末梢神経」は、中枢神経からの情報を末梢に伝える「運動神経」などの遠心性線維と、末梢の情報を中枢に伝える「感覚神経」などの求心性線維に分かれます。
見た目では、中枢神経は硬い絹ごし豆腐のような硬さで脳脊髄液という液体の中に浮いています。
末梢神経は情報を伝えるコードのようなものですのでいろいろな太さの糸のような触感です。
生命維持のために冶重要な自律神経も中枢神経、末梢神経から成りますが、この末梢神経も運動、感覚の末梢神経と同じく遠心性線維と求心性線維の両方から成ります。

次回、第6回は「脳脊髄液」です。

2018.09.18 UP
銭函リハビリテーション学校を開催いたしました!

9月8日(土)、第5回銭函リハビリテーション学校を開催しました。

地震による停電等のトラブルがあった中でしたが、8日には銭函・桂岡地区もほぼ復旧し、無事に開催することができました。いつもの皆さんの笑顔が見られて、ホッと一安心でした。

今月はイベントの回であったため、予定通り、1時間半にわたり身も心も【ヨガ】にたっぷり触れて頂きました。講師はヨガインストラクター資格を持つ、当院理学療法士が務めました。体の動かし方だけでなく、物事の考え方なども、ヨガから学ぶことがありましたね。

10月は【栄養】がテーマです。またたくさんのご参加をお待ちしています。

2018.08.29 UP
第4回「脳の中のこびと」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

大脳外観(大脳を左側面から見た像)



  


脳はその部位ごとに役割の分担があります。脳は、外見的に、左右対称的な専門的に言うと次の図のようになっています。これは、場所ごとに役割があることを示すためのものですので覚える必要はありません。



特に、われわれに身近な機能である感覚機能や運動機能では、脳のどの部位が体のどこに対応するかが良くわかっています。感覚機能でいえば、上図の横線赤の「一次体性感覚野」で右脳を縦切りにした断面を示すと、


  


のようになり、運動機能でいえば、先の脳の外観の図で、黒・印の「一次運動野」で左脳を縦切りにした断面を示すと、


  

のようになります。

 感覚系でも、運動系でも顔や指、次いで手など細かな感覚や動きを担当する場所が脳のなかでも大きな部分を占めているのがわかります。そこで、上の二つの図のように人間の体の担当する部位を脳の上に記すと、あたかも人体のように並ぶため、この人間の図をホムンクルス(英語で「こびと」のこと)と呼びます。この、感覚機能運動機能で脳が占める体積の割合で実際の人体を作ったモデルがイギリスロンドンの大英自然史博物館にありますのでそれを示します。

 感覚野のこびと

 運動野のこびと

両こびとはほぼ同じで、区別の必要がありませんが、顔と指が大きいのが印象的です。
 ここで示したのは、感覚機能や運動機能という比較的単純な機能ですが、われわれの五感、更に、思考、感情など様々な場面で実際の症状と脳の中の場所との対応があります。これを担当するのが神経内科です。

次回、第5回は「中枢神経と末梢神経」です。

2018.08.24 UP
家族介護教室を開催いたしました!

8月17日(金)、当院にて回復期リハビリ病棟主催の「家族介護教室」を開催いたしました。今回は、第1部が薬剤師による「再発を防ぐ薬のお話~脳卒中と骨粗しょう症」というテーマで、それぞれの疾患に処方される薬の役割や特徴、副作用、飲み忘れたときはどうすればよいか、飲み忘れないための工夫などをご紹介いたしました。

第2部は、理学療法士による「在宅介護をもっと楽に!上手な介助方法講座」でした。専門職の観点から、車イスの操作、着替えや階段昇降などには、手順とコツがあり介助する側もされる側も体を痛めない方法を実演をまじえてご紹介いたしました。

次回は9月14日 金曜日を予定しています。乞うご期待!

2018.08.06 UP
銭函リハビリテーション学校を開催いたしました!

8月4日(土)、平成30年度、第4回銭函リハビリテーション学校を開催しました。今回の内容は、【からだのメンテナンス】ということで、当院リハビリテーションスタッフが講師をさせて頂きました。

講義は、実技を含めた【肩・腰・足】の3部構成で、少し動かすと柔軟性やバランスが変化するということを実際に体感して頂きました。皆さん体の反応がとても良く、「毎日少しずつやってみる」と前向きな声もたくさん聞かれました。継続が大事です。ぜひ取り組んでみてください!

 

9月のイベントは【ヨガ】を企画しています。たくさんのご参加をお待ちしています。

2018.08.03 UP
第3回「神経内科」とは

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

【「神経」とは】「神経」の組織の中心は「神経細胞」です。神経細胞は本体に相当する「細胞体」が0.1mm、そこから延びる電線に相当する「神経線維」が1ミリメートル以下~1メートルという大きさです。こういう形をした「神経」やそのネットワークの異常を担当する分野が「神経内科」です。具体的には、認知、運動、感覚、平行機能、自律神経機能などの異常および筋肉の異常を対象とします。
 模式的に表現すると、【「神経内科」が担当する3本柱の分野】は、
① 中枢神経(脳・脊髄):コンピュータに相当
② 末梢神経(自律神経を含む):コンピュータから各組織へ連絡する電線に相当
③ 筋肉:コンピュータからの指令により動く末端の組織に相当

ここで、注意しておきたいのは私たちが日常生活の中で、「神経が疲れる」、「神経が休まらない」、「神経をすり減らす」、「神経を使う」などという時の「神経」は、本来の「神経」ではなく、「精神」や「気持」のことを意味し、精神的問題、心理的問題であることをあいまいにするための使われ方をしています。このあいまいさは、「神経」、「精神」、「心理」を扱う近縁の各診療科の区別があいまいになるという現象の原因にもなっています。神経内科は次にあげる近縁他科と症状、およびその捉え方、診察方法、検査方法が異なり、また一部共通する部分をもちますが、その違いを挙げると次のようになります。

① 神経内科(別名、脳神経内科):脳・神経系の疾患を内科的に診察/治療する
② 脳神経外科(別名、脳外科、神経外科):脳・神経系の疾患を外科的に診察/治療する
③ 精神科:精神症状(思考・感情・心の症状)例えば、妄想、幻覚、幻聴、不安、抑うつ、イライラ、不眠、精神症状の身体化を担当
④ 心療内科:心身症(精神的原因による体の器質的症状)を担当

 それでは、実際には、どのような症状があれば神経内科受診を考えるのでしょうか。
【神経内科受診を考える症状】
1.意識障害(目を覚まさない、ボーっとしている)
2.認知症・物忘れ
3.行動、行為、言語の異常(精神科疾患との区別が必要)
4.頭痛
5.めまい(回転性と非回転性)
6.聴力低下/耳鳴り(耳鼻科との協力が必要)
7.けいれん (緊急対応が必要な場合もある)
8.視覚の異常 (眼科との協力が必要)
9.力が入りにくい、体の動きが鈍い、筋肉がやせた
10.ふるえる、体がひとりでに動く
11.感覚が鈍い、しびれる
12.歩きにくい 、バランスがとれない
13.排尿障害(泌尿器科と協力が必要)
14.嘔気・嘔吐にも注意(神経救急疾患の可能性あり)

これらをもっと簡単に言うと
1.意識・言葉がおかしい
2.体が不自由(目・口・手・足)
  筋肉がやせた、しびれる
3.(各種の)発作を起こすと表せます。

神経内科の診察の特徴
・問診が非常に重要。
・全身を調べることにより、広範囲の把握が可能。
・ハンマーに象徴される神経学的診察が時にCT、MRIなどの高価な画像診断や脳波検査よりも貴重な情報(特に病巣の場所について)をもたらすことがある。

まとめ
神経内科は神経に関する診療をするのはもちろんであるが、それだけでなく全身を総合的に診察することにより、それぞれの症状が近縁診療科の中のどの科が担当すべきかを判定し、個々の患者さんの適正な診療に結びつけることもできる。


次回、第4回は「脳の中のこびと」です。

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