札樽病院ミニ知識trivia

2018.12.04 UP
第7回「バビンスキー徴候」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

神経」は大きく、「中枢神経」と「末梢神経」に分かれます。
神経組織は私たちの体、精神をコントロールしますのでよくコンピューターに例えられます。
そこでは「中枢神経」はコンピューター本体、「末梢神経」は情報を伝えるケーブルコード)に相当します。
中枢神経」は大脳小脳脳幹中脳、橋、延髄)から成り、「末梢神経」は、中枢神経からの情報を末梢に伝える「運動神経」などの遠心性線維と、末梢の情報を中枢に伝える「感覚神経」などの求心性線維に分かれます。
見た目では、中枢神経は硬めの絹ごし豆腐のような硬さで、脳脊髄液という液体の中に浮いています。
末梢神経は情報を伝えるコードのようなものですのでいろいろな太さの糸のような触感です。
生命維持のために重要な自律神経も中枢神経、末梢神経から成りますが、この末梢神経も運動、感覚の末梢神経と同じく遠心性線維と求心性線維の両方から成ります。

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次回、第8回は「不随意運動」です。

2018.11.07 UP
第6回「脳脊髄液」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

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頭蓋骨の内側に脳がありますが、脳は外側から順に、硬膜くも膜という2層の膜に囲まれています。
更に、脳の表面には軟膜という名の薄い膜が張り付いていますので、脳組織の外側には外側から順に、硬膜くも膜軟膜という3層の膜があることになります。
そして、くも膜と軟膜の間の空間(「くも膜下腔」と呼びます)には液体(「脳脊髄液」、略して「髄液」と呼びます)が存在するため、脳は脳脊髄液のなかに浮いていることになります。
脳の内部には側脳室第3脳室第4脳室と名づけられる脳脊髄液で満たされたスペース(脳室)があり、くも膜下腔につながっています。
一方、脳はそれと同じ成分の組織である脊髄(腰の部分まであります)とつながっていますので、脳と脊髄を一体とする塊は脳脊髄液のなかに浮かんでいることになります。

脳脊髄液は全身で125-150mLほど存在しますが、脳室の中にある脈絡叢という、荒い網目で薄いナイロンたわし状の組織1日450mL産生され、全身の脳・脊髄の周りを回って、頭蓋骨の下のくも膜下腔にあるくも膜顆粒という組織で吸収されます。
脳脊髄液の成分は薄い、蛋白血球を含んでいますが無色透明で、病気になると様々な色を帯びてきます。
脳脊髄液には、通常70-180cm水柱程度の圧がかかっていますが、外傷などでくも膜に傷がつくと脳脊髄液が外部に漏れるため脳脊髄液の圧が下がりめまい立ちくらみその他の不定愁訴の原因となります。
この状態は、近年、「低髄液圧症候群」、「髄液漏出症候群」、「髄液減少症」などの名で呼ばれますが、明らかな外傷歴がなくても起こることがあり診断に注意が必要な疾患として知られています。

次回、第7回は「バビンスキー兆候」です。

2018.10.10 UP
第5回「中枢神経と末梢神経」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

神経」は大きく、「中枢神経」と「末梢神経」に分かれます。
神経組織は私たちの体、精神をコントロールしますのでコンピューターに例えられますが、「中枢神経」はコンピューター本体、「末梢神経」は情報を伝えるケーブル(コード)に相当します。
中枢神経」は大脳、小脳、脳幹(中脳・橋・延髄)から成り、「末梢神経」は、中枢神経からの情報を末梢に伝える「運動神経」などの遠心性線維と、末梢の情報を中枢に伝える「感覚神経」などの求心性線維に分かれます。
見た目では、中枢神経は硬い絹ごし豆腐のような硬さで脳脊髄液という液体の中に浮いています。
末梢神経は情報を伝えるコードのようなものですのでいろいろな太さの糸のような触感です。
生命維持のために冶重要な自律神経も中枢神経、末梢神経から成りますが、この末梢神経も運動、感覚の末梢神経と同じく遠心性線維と求心性線維の両方から成ります。

次回、第6回は「脳脊髄液」です。

2018.08.29 UP
第4回「脳の中のこびと」

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大脳外観(大脳を左側面から見た像)



  


脳はその部位ごとに役割の分担があります。脳は、外見的に、左右対称的な専門的に言うと次の図のようになっています。これは、場所ごとに役割があることを示すためのものですので覚える必要はありません。



特に、われわれに身近な機能である感覚機能や運動機能では、脳のどの部位が体のどこに対応するかが良くわかっています。感覚機能でいえば、上図の横線赤の「一次体性感覚野」で右脳を縦切りにした断面を示すと、


  


のようになり、運動機能でいえば、先の脳の外観の図で、黒・印の「一次運動野」で左脳を縦切りにした断面を示すと、


  

のようになります。

 感覚系でも、運動系でも顔や指、次いで手など細かな感覚や動きを担当する場所が脳のなかでも大きな部分を占めているのがわかります。そこで、上の二つの図のように人間の体の担当する部位を脳の上に記すと、あたかも人体のように並ぶため、この人間の図をホムンクルス(英語で「こびと」のこと)と呼びます。この、感覚機能運動機能で脳が占める体積の割合で実際の人体を作ったモデルがイギリスロンドンの大英自然史博物館にありますのでそれを示します。

 感覚野のこびと

 運動野のこびと

両こびとはほぼ同じで、区別の必要がありませんが、顔と指が大きいのが印象的です。
 ここで示したのは、感覚機能や運動機能という比較的単純な機能ですが、われわれの五感、更に、思考、感情など様々な場面で実際の症状と脳の中の場所との対応があります。これを担当するのが神経内科です。

次回、第5回は「中枢神経と末梢神経」です。

2018.08.03 UP
第3回「神経内科」とは

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【「神経」とは】「神経」の組織の中心は「神経細胞」です。神経細胞は本体に相当する「細胞体」が0.1mm、そこから延びる電線に相当する「神経線維」が1ミリメートル以下~1メートルという大きさです。こういう形をした「神経」やそのネットワークの異常を担当する分野が「神経内科」です。具体的には、認知、運動、感覚、平行機能、自律神経機能などの異常および筋肉の異常を対象とします。
 模式的に表現すると、【「神経内科」が担当する3本柱の分野】は、
① 中枢神経(脳・脊髄):コンピュータに相当
② 末梢神経(自律神経を含む):コンピュータから各組織へ連絡する電線に相当
③ 筋肉:コンピュータからの指令により動く末端の組織に相当

ここで、注意しておきたいのは私たちが日常生活の中で、「神経が疲れる」、「神経が休まらない」、「神経をすり減らす」、「神経を使う」などという時の「神経」は、本来の「神経」ではなく、「精神」や「気持」のことを意味し、精神的問題、心理的問題であることをあいまいにするための使われ方をしています。このあいまいさは、「神経」、「精神」、「心理」を扱う近縁の各診療科の区別があいまいになるという現象の原因にもなっています。神経内科は次にあげる近縁他科と症状、およびその捉え方、診察方法、検査方法が異なり、また一部共通する部分をもちますが、その違いを挙げると次のようになります。

① 神経内科(別名、脳神経内科):脳・神経系の疾患を内科的に診察/治療する
② 脳神経外科(別名、脳外科、神経外科):脳・神経系の疾患を外科的に診察/治療する
③ 精神科:精神症状(思考・感情・心の症状)例えば、妄想、幻覚、幻聴、不安、抑うつ、イライラ、不眠、精神症状の身体化を担当
④ 心療内科:心身症(精神的原因による体の器質的症状)を担当

 それでは、実際には、どのような症状があれば神経内科受診を考えるのでしょうか。
【神経内科受診を考える症状】
1.意識障害(目を覚まさない、ボーっとしている)
2.認知症・物忘れ
3.行動、行為、言語の異常(精神科疾患との区別が必要)
4.頭痛
5.めまい(回転性と非回転性)
6.聴力低下/耳鳴り(耳鼻科との協力が必要)
7.けいれん (緊急対応が必要な場合もある)
8.視覚の異常 (眼科との協力が必要)
9.力が入りにくい、体の動きが鈍い、筋肉がやせた
10.ふるえる、体がひとりでに動く
11.感覚が鈍い、しびれる
12.歩きにくい 、バランスがとれない
13.排尿障害(泌尿器科と協力が必要)
14.嘔気・嘔吐にも注意(神経救急疾患の可能性あり)

これらをもっと簡単に言うと
1.意識・言葉がおかしい
2.体が不自由(目・口・手・足)
  筋肉がやせた、しびれる
3.(各種の)発作を起こすと表せます。

神経内科の診察の特徴
・問診が非常に重要。
・全身を調べることにより、広範囲の把握が可能。
・ハンマーに象徴される神経学的診察が時にCT、MRIなどの高価な画像診断や脳波検査よりも貴重な情報(特に病巣の場所について)をもたらすことがある。

まとめ
神経内科は神経に関する診療をするのはもちろんであるが、それだけでなく全身を総合的に診察することにより、それぞれの症状が近縁診療科の中のどの科が担当すべきかを判定し、個々の患者さんの適正な診療に結びつけることもできる。


次回、第4回は「脳の中のこびと」です。

2018.07.03 UP
第2回「認知症の分類とその割合」

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(1)認知症の分類
【認知症の種類と大まかな割合】(小阪 憲司 先生による)

※ その他の認知症: 前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性認知症、正常圧水頭症、クロイツフェルト-ヤコブ病など

 a)アルツハイマー型認知症(AD)が半数を占めますが、b)脳血管性認知症(VD)c)レビ-小体型認知症(DLB)を合わせると3大認知症と呼ばれます。認知症は、認知機能の低下が第1の症状(「中核症状」と呼びます)ですが、合併する諸症状(「周辺症状」と呼びます)が本人や介護者のQOLを大きく阻害することが近年周知されるようになってきました。DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみが強く、介護者の苦労も多いとされています。
以下に上記の3つの特徴/鑑別点について示します。

DLBの症状の特徴として、以下の5つが挙げられる。
1)幻視を主体とする幻覚
2)パーキンソン症状(手足が震える・四肢が硬くなる・動作が遅くなる・歩行障害)ADでは発現しないため、これらの症状が発現すればDLBを疑う。
3)認知機能の変動が大きい
4)自律神経症状(血圧の変動・排尿障害・消化管運動障害・発汗障害など)
  ADでは発現しない。起立性低血圧による転倒骨折・頭部外傷、食事性低血圧による誤嚥、臥位高血圧による心臓・腎臓への負担や脳出血の危険がある。消化管運動障害としては、便秘のほか、時にイレウスを起こす危険がある。
  発汗障害としては、発汗減少や発汗過多が起こり、うつ熱、体温が外気温に左右されやすいなどがある。
5)レム睡眠行動異常症
  DLBでは病早期からみられるのに対し、ADではまれである。

a) アルツハイマー型認知症

以下使わず。

年齢と出現率

それでは、認知症という状態は65歳以上の高齢者のうち、どれくらいの人におこってくるか、という事です。この統計を平均すると、だいたい65歳以上の高齢者の7,8%、ごく軽い人を入れると10%くらいで、1割に満たない人が認知症になります。ですから、90%の人は認知症になりませんので、それほど恐れることはないんです。
しかしながら、グラフのように、年を取ると、認知症になる人がだんだん増えてまいります。85歳以上になると、4人に1人が認知症になると言われていますから、これは大変なことです。しかも、最近の日本では、75歳以上の後期高齢者が増えてきています。後期高齢者が増えますと、当然認知症の率も増えるということです。非常にポピュラーな病気であるということになります。
したがって、早期発見・早期治療、また、予防といったことが、たいへん大切になってくる訳です。
グラフは、「老人保健福祉計画策定に当たっての認知症老人の把握方法等について」(平成4年2月老計第29号、老健14号)による。

次回、第3回は「神経内科とは」です。

2018.06.04 UP
第1回「認知症社会が目前」

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(1)「2025年問題」
人口の高齢化に伴って認知症が年々増加しつつあることはしばしば議論されていますが、政府は、団塊の世代が全て75歳に達する2025年をターゲットとして高齢化対策をすすめようとしています。この状況の中、本年(2015年1月27日)認知症に対する国家戦略が決定されました。人口の高齢化を論じる際「2025年問題」なる用語がしばしば登場しますが、その要点を対象人数で見ると次のようになります。

認知症高齢者2012年時点で462万人:高齢者(65歳以上)の7人に1人
ほかに、軽度認知障害(MCIと略する)が400万人(合わせると1,062万人)。

②政府予想では2025年時点には、認知症高齢者が多くて730万人(高齢者の5人に1人)
これにMCIの予測584万人を加えると高齢者3人に1人に相当。

(2)「新オレンジプラン」
この国家戦略は、厚労省が2013年から進めている5か年計画「オレンジプラン」の目標引き上げが中心で、「新オレンジプラン」と呼ばれます。その基本的考え方は、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」で、具体的には7本の柱からなっています。
①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等
の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦認知症の人とその家族の視点の重視

(3)認知症サポーター
新オレンジプランでは、認知症に対する正しい知識と理解をもって認知症当人・家族を支援する「認知症サポーター」(目印として手首にオレンジリングを着ける;2014年末に580万人を超えた)の目標人数が600万人から800万人に引き上げられました。

次回、第2回では認知症の分類とその割合についてお伝えします。